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皆さんが抱くモンゴルのイメージは、大平原・遊牧民・ゲル・・・などでしょうか。真っ青な空と綿菓子のような白い雲、果てしなく続く草原そのもの。この自然と動物とそこに暮らす人々。他には、何もありません。
では、なにが面白いのって?いやいや、私たちは普段、「何も無い状況」って、なかなか味わえませんよね。見た目は何も無いようですが、見える人には見える、感じる人には感じられるところです。与えられるものではなく感じる国なのです。
大草原の中にいると、人の数よりも多い動物の生活の中に、「お邪魔します」と言う気持ちになります。放牧されている牛やヤク、羊や馬が数知れずいますが、この風景ののどかさだけでなく、漂ってくるハーブのような風の香りは、最高のプレゼントに思えてくるから不思議です。
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モンゴルには仏教もありますが、シャーマニズムが息づいています。この世界と聖霊の世界を自由に行き来できる霊的存在のシャーマン-男性ならザイラン、女性ならオットガンと呼ばれる-を信じている人が多く、生活の中心もここにあります。自分たちの生きる土地が祖先によって守られ、感謝すること、そして今後もこの土地を守る集団として生きて行くこと、この中心的な役割を果たすのがシャーマンだとも言えるのです。シャーマンは、祖先を呼び出して、運勢を占ってくれたり、迷っていることに答えを与えてくれたり、健康の祈祷をしてくれたりもするそう。
ところで、モンゴルを旅していると、各地に見られる石の山と三角の木組みが「オボー」。山や川の神様への畏敬の念を表し、シャーマンが聖霊を呼び出したり、呪いを解いたりしてくれるのだそう。感謝のオボー、道しるべのオボー、葬儀のオボーなど様々で、とても大切にされているので、もし見かけたらオボーの周りを三度回って感謝するのもよいかもしれません。
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大草原を車で走ると、舗装された幹線道路の脇に標識があって、そこから道無き道へと進んでいくと、キャンプ・ゲルが現れたりします。それ以外、平原に道しるべは無く、ドライバーさん曰く、「目印は遠くに見える山脈、あとはカン」。どれが近道、遠回りなのかは関係無く、ただ、安全に目的地を目指すだけ。時間は太陽があるうちに到着すれば問題無い。なるほど・・・。確かに、川があっても橋は無く、川沿いに走って浅瀬を探し、深さを測ってみて、行けそうなら車で渡るので、川の真ん中で立ち往生することも珍しくなく、皆で車押しすることに。(そんな時には、ためらわず参加!)
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乗馬キャンプは、初心者でもゆっくりと進んでくれますし、予備(?)の馬も控えているので、乗っている馬のご機嫌や体調が良くない時にも安心。大きな荷物は搬送車が運んでくれて、何も心配せず、気持ちよく大草原を駆けることができます。ミニサイズの馬もいて、6歳から参加できるなど、さまざまなスタイルのトレッキングがあるので、ぜひ一度体験してみては?
ちなみに、世界には1500頭の野生馬がいて、モンゴルにはそのうちの430頭、ホスタイ地域には260頭が生息しているそう。タヒと呼ばれるその馬にお目にかかるには運に頼るしかないのだけれど、今回は25頭のタヒとの出会いがあり、とてもラッキー!顔の大きさ、足の太さが野生馬らしく逞しいのが特徴的。その他にも、ラクダや羊の群れ、ガゼルなどの姿を目にすることが出来ました。
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実際に大草原の中で馬・羊・山羊を飼っている遊牧民のゲルを訪問して、朝の乳しぼり、放牧、乗馬、羊追い、バターやヨーグルト作りを体験することも可能ですが、通常、観光宿泊用のゲルは大きさにより、2人部屋から4人部屋。前述のように朝晩は冷え込むので、薪のストーブがゲルの真ん中にあって、天井に見える棒のようなものは、実はストーブの煙突です。電気は自家発電式で、一つだけ。でも、この時期、夜は9時半頃まで明るいし、朝4時には空が白み始めました。さて、夜11:00の消灯後は、ストーブの火や、ランプの明るさを頼りに、輪になって語り合うのも楽しみの一つです。最近は、天井が透明なビニール製のものもあり、寝ながら星空が見られたり、朝日が差し込んで来たりします。ハイテク機器とは無縁の草原での眠り、遠くから聞こえる野生の生き物の声も、心地よい子守唄に・・・。
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モンゴルは近年、バードウォッチングをはじめ、野生動物や草花を見に・・・など、世界各国の旅行者に人気の国となっています。自然の雄大さを感じたくなったら、ぜひモンゴルへ!自然に支配される心地よさ。五感を研ぎ澄まし、自然の恵みを受け、そしてそこに大切な人が居れば、話が弾んで笑いが絶えない・・・。私自身、童心に返って大笑いしたこんな旅は、今までに無かった気がします。大自然の中で、時計は全く意味をなさず、馬頭琴とホーミー(口笛)の響きに、不思議な世界へ引き込まれ、胸がいっぱいになりました。
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