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ル・アーブルとは
フランス北西部の大西洋に挑む港湾都市。 クロード・モネは幼少期から長くここで過ごし、数多くの作品を残している。 特にル・アーブルの海岸を描いた「印象・日の出」は印象派の出発の作品ともなった。
パリ、1874年4月。とある絵画の展覧会。
のちに印象派を代表する画家と呼ばれるクロード・モネの絵が、批評家たちの酷評を浴びていました。

その絵、「印象:日の出」は、刻々と表情を変える夕方の港の風景を、細かくやわらかい独特の筆のタッチで描いたもの。 微妙な光の移ろいや大気の揺らぎが、まるでそこに自分がいるように伝わってきます。 しかし、当時の伝統的な絵画価値観の中で、モネの絵は、”単なる印象を絵にした”稚拙なものとして受け止められてしまいました。
絵のモデルとなった風景は、モネが10代の頃に住み、風景画家ブーダンに才能を見出された美しい街、ル・アーブルの港でした。 現在はセーヌ川河口の優雅なリゾート地となり、2005年にはその街並みが世界遺産にも登録されたル・アーブル。 海岸沿いを歩くと、モネが光の美しさに心を奪われるきっかけになった、豊かな表情を湛えた海が目の前いっぱいに広がります。
酷評されてしまった「印象:日の出」のタイトルは、その後皮肉にも、モネたちの画派の呼び名として世界中に広がっていきます。 まさに印象派の“はじまりの街”といえる、ル・アーブル。 夢中になって絵を描くモネ少年に、今でも出会えそうな気がするこの街は、印象派を巡るフランスの旅のスタート地にぴったりかもしれません。
ルーアンとは
フランス西部に位置する都市。 オート=ノルマンディー地域圏の首府、セーヌ=マリティーム圏の県庁所在地。 クロード・モネの中期の連作「ルーアン大聖堂」や、ジャンヌ・ダルクに縁のある場所としても有名。
「彼は目である。しかし、なんという目だろう!」

印象派の画家セザンヌが、モネの作品をほめた時の言葉です。 目、とはどういう意味なのでしょう? 抽象的と思われがちな印象派の絵ですが、それは実は間違った解釈。 光と色彩の表情をとらえることに関して、印象派の絵画はどこまでも“現実に忠実”でした。 モネは光をとらえる目そのものだ、というセザンヌの言葉は、お互いを知りつくしていたからこそ言える最大級の賛辞だったのでした。
モネが繰り返し描いたモチーフに、ルーアンのノートルダム大聖堂があります。 ほぼ同じ場所から、同じ構図で描かれた大聖堂の絵が、全部で33点。 ただ違うのは、朝、昼、夕方、晴れ、曇り・・・と変化する、その色彩。 並べて見ると、彼が描きたかったものが、大聖堂を介して私たちの目の前に姿を表す、光の存在そのものだったことに気付かされます。
ルーアンには大聖堂以外にも、ジャンヌ・ダルクが処刑された広場や、2階以上が大きくせり出して建てられた奇妙なかたちの家々など、見どころがいっぱいです。 歩くうちに、ローマ時代から続く歴史の中に迷い込み、違う世界に来たような感覚になってしまう、テーマパークのような魅力を持った街です。
オーヴェル・シェル・オワーズとは
ヴァル=ドワーズ県の村。 ゴッホやセザンヌなどの多数の画家が着想を得るためこの村に赴いた。 とりわけゴッホはこの地で70点もの作品を描いている。
1890年5月。精神病院を出たゴッホは、パリから電車で1時間ほどの小さな村、オーヴェル・シュル・オワーズに移り住みました。
晩年の傑作といわれる『オーヴェルの教会』や『カラスのいる麦畑』は、「狂気の天才」のイメージとはほど遠い、この静かな村で描かれたもの。 麦畑や糸杉、村の建物など、ゴッホが描いた風景は今もそのままになっています。 ゴッホの作品と見比べながら村を歩けば、わずか2ヶ月しか住むことのなかったこの村での彼の暮らしが、はっきりと浮かび上がってきます。
ゴッホが命を引き取ったラヴー亭の部屋も、今も当時のまま、空っぽで残されています。 彼の魂が何を求めてさまよい、この村に辿り着いたのか。 そんなことを考えながら見るゴッホの絵は、いつもとは違う印象を私たちに与えてくれるかもしれません。
A - オルセー美術館(パリ)
B - オランジェリー美術館(パリ)
C - ウージェンヌ・ブーダン美術館(オンフルール)
D - アンドレ・マルロー美術館(ル・アーヴル)
E - ルーアン美術館(ルーアン)
印象派の作品をじっくり見ることができるフランスの美術館を紹介!
パリの2つは言うまでもなく、それ以外の美術館にも魅力的な作品が多く収蔵されています。
ゆかりの地巡りと合わせて見れば、作品の魅力も倍増するかも!?
●オルセー美術館 Musée d'Orsay(パリ)
言わずと知れた「印象派の殿堂」。 マネ「オランピア」「草上の朝食」、ドガ「エトワール」、セザンヌ「台所のテーブル」など、印象派の代表作がずらりと並ぶ。 2011 年秋にリニューアルし、印象派の展示室はシェードを通して上方から自然光が差し込むようになり、また最新技術の照明を採用することで印象派の作品の微妙な色合いを確認することができるように。
●オランジェリー美術館 Musée d'Orangerie(パリ)
もとはテュイルリー宮殿のオレンジ温室(オランジュリー)だった建物が、1927年、モネの「睡蓮」を収めるために美術館として整備された。 セザンヌ、ルノワール、ルソー、ピカソ、モジリアニら印象派の作品144点が所蔵されている。 モネの最晩年の大作「睡蓮」(8 枚連作)は圧巻。
●ウージェンヌ・ブーダン美術館 Musée Eugène Boudin(オンフルール)
ブーダンとデュブールの発案で1868年に創設された美術館。 もともとはアウグスティノ会修道院の礼拝堂内に造られましたが、近年ではコレクションの拡充に伴って近代的な展示室が増築された。
●アンドレ・マルロー美術館 Musée Malraux(ル・アーヴル)
ル・アーヴルに、作家アンドレ・マルローが設立した美術館。 2004年、印象派を中心とする計206点のフランス近代美術コレクションが寄贈されたことにより、フランス第2の印象派コレクションを有する美術館となった。 ルノワール「観光客」など。
●ルーアン美術館 Musée des Beaux-Arts de Rouen(ルーアン)
19世紀初頭、フランス国家が啓蒙のために各地に作った公立美術館のひとつ。 印象派に限らず、フランス各時代の傑作をバランスよく見ることができる総合的な美術館。