崩れゆく世界遺産
長崎港の沖合に浮かぶ小さな島、端島。その独特なシルエットが軍艦のように見えることから「軍艦島」と呼ばれてきました。
この島は、日本の近代化を支えた海底炭鉱の島です。最盛期には約5,000人以上が暮らし、世界有数の人口密度を誇りました。島には小中学校、病院、映画館、商店街、神社、理髪店まであり、限られた土地の中で"都市"が垂直に形成されていました。そこには確かに、日々の生活があり、笑い声があり、家族の時間がありました。
2015年、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産としてユネスコ世界遺産に登録。日本の産業史を語る上で欠かせない場所であることを世界が認めました。
しかし今、その姿は急速に変わりつつあります。
海風と塩害にさらされ続ける鉄筋コンクリートの建物群は崩落が進み、立ち入り可能エリアも安全確保の観点から制限されています。見学ルートも天候や補修状況によって変更されることがあり、「いつか行こう」と思っている間に、見られなくなる景色があるのが現実です。