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コンシェルジュブログ

コンシェルジュ : 菅澤 彰子
【2010年10月21日[Thu]】 海外

「モンテレージョ・ディ・マッサ・マリッティマ」~トスカーナの小さな極上ワイナリーの話


深まりをみせる、トスカーナ今朝の秋

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by Akiko Sugesawa


ちょっと郊外を歩いても、キノコがあちらこちらに顔を出す
実りの季節、クリやザクロが目にも嬉しい

この土地の人々にとっての一大イヴェント
「ヴェンデンミア」、つまりブドウの収穫も終えた

これから今年の新ワイン「ノヴェッロ」が楽しみだ


トスカーナといえば、ワインを連想する人が
少なくないだろう

私が十年以上、この土地に住んで、
もっとも敬意を払うワイナリーの話をしよう

なぜ今さらワインか、というと、
いまだに誤解が多いように思うからだ

まず、その根本として、
ワインとは必ずしもお洒落なものではないし、
気取ったものでもない

イタリア人の食事において
パンとワインは本質なのである

時代と共に食の形態が変化してきて
ワインを飲まなくなった若者が増えたことは
確かである

だが、ずっと生産し続けるワイナリーがあり、
その価値を認めようとする気風を存続し続けるところが、
彼らは素晴らしいと思うのだ☆


私の友人、ジュゼッペさんは
手塩に掛けて、ワインをつくる人だ

自分の畑を持ち、自分の手でブドウを生産する

ワイナリーでも規模が大きくなると、
人を雇って仕事をさせるのだが、
彼の場合は、家族の手を借りながら、自分で行う

彼にワインやオリーヴオイルの話を聞いた者は、
誰もが心を打たれる

なぜかというと、心の底から話をする人だからだ
大人の男の人で、まずそういう人は
ここイタリアでも少ない

畑と木の性質を研究し尽くしている

彼の畑には、細部にわたるまで、
心くばりが行き届いている

素人目には無造作に映るところも、
それはそれで意味がある


私の住むマッサ・マリッティマという町は、
トスカーナでもマレンマと呼ばれる海岸沿いの地域にある

ある日本のワイン雑誌で、このあたりは
「若く新しい産地」と書かれていたが、
それは嘘、あるいは間違いである

雑誌とはいえ、専門誌だ
適当なことを書いてはいけない

ワインのプロならわかるだろう

この土地でも古くからワインづくりは行われてきたし、
常に彼らの生活とともにあった

ボトルに詰めて、海外まで出回るようになったのが
近年のこと、という話しだ


マッサ・マリッティマには、
約60のワイナリーがある

飲み比べてみれば分かるが、
こんなにも違うのか、というくらい、
同じ土地でも、生産者によって差がでる

日本へ輸出を手がける大手もあるが、
ジュゼッぺさんのつくるワインは
ここでしか飲めない

この土地の銘柄「モンテレージョ」
Monteregio di Massa Marittimaを初めとする
サンジョヴェーゼ主体の数種のワインを
つくりあげる

「ワインは人なり」
これは、本当だ

彼のワインには、
ポエジー(詩)が感じられる☆

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by Akiko Sugesawa


上の写真は、8月初旬、選別を終え、
あとは成熟するのを待つだけの
ジュゼッペさんのブドウ

これが今、ワインとして生まれ変わりつつある


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